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自己投資の考え方と選択肢2016 / 04 / 28
「ユダヤ人」と「華僑」に学ぶビジネス成功の哲学
ビジネス感覚に優れた民族として世界的に名高いのが、西のユダヤ人と東の華僑です。「ビジネスで成功したければ彼らに学べ」という教えもあるほどで、ユダヤ人の教えを活かした企業経営で有名な藤田田氏(日本マクドナルド創業者)、ビジネス拡大に際してユダヤ人と華僑を参考にしたとされる澤田秀雄氏(エイチ・アイ・エス創業者)をはじめ、彼らの考え方に影響を受けた日本人の経営者・実業家・ビジネスマンも少なくありません。
根っからの商売上手であるユダヤ人と華僑は、なぜ時代が変わってもビジネスで成功し続けられるのか――。価値のある自己投資や考え方について光を当てる「フジヤマクロスロード」、今回はそんなユダヤ人と華僑の成功哲学を3つの観点から紐解きます。
ユダヤ人とは?華僑とは?
ユダヤ人は、「ユダヤ教を信じる人たちとその子孫・末裔」のことです。ユダヤ人は民族独自の国家であるイスラエルや欧米諸国を中心に世界各地でコミュニティを形成しており、その数は1,300万人以上とも言われています。特に金融市場での存在感が強く、アメリカの有力金融機関はゴールドマンサックスを筆頭にほとんどがユダヤ系です。
一方の華僑は、「中国から海外へと移り住んだ漢民族およびその子孫・末裔」のこと。今日では、中国籍を持ちながら中国(香港・マカオ・台湾も含む)以外で暮らす漢民族を華僑とする場合もあります。華僑が多く見られるのはシンガポール、インドネシア、マレーシアといった東南アジア諸国で、こちらは600万人以上いるとされています。
ユダヤ人と華僑の3つの成功哲学
教育方針
ユダヤ人も華僑も「教育にお金をかけること」で知られていますが、ユダヤ人は教育において子供の個性をひときわ重視します。ウクライナ系ユダヤ人の映画監督スティーブン・スピルバーグ(写真)は2012年に難読症という学習障害を抱えていたことを明かしましたが、彼の両親は8mmビデオカメラに大きな興味を示した我が子の個性を伸ばそうと、根気よく付き合ったそうです。そして家中が撮影機材や彼が手作りした美術セットで埋め尽くされても、それを止めることはなかったといいます。
対する華僑の教育方針は「日本的な詰め込み式に近い」とされます。ただし決定的に異なるのは、教育にかかった費用の内容やその目的を子供に対して詳細に説明し、将来的に親に返済させることです。日本では「子供を大学まで行かせると家が建つ」と言われますが、教育費負担の大きさは海外でも同じ。費用の内容やその目的を伝えることで、子供たちは1円も無駄にしないよう必死で勉強するのです。大学卒業後に就職ではなく起業を選ぶ華僑が多いのは、「親にお金を返す」という意識が強いからかもしれません。
時間の使い方
ユダヤ人にとって時間はときにお金よりも貴重であり、時間の使い方にこだわりを持っています。Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、いつも同じTシャツを着ている理由を問われた際、「くだらないことに時間を使うと仕事をしていない気分になる」「私が時間を使うべきなのは、最高のサービスを提供して人々をつなぐこと」と答えています。また、ユダヤ人は忙しい中で工面した時間を積極的に自己投資に使います。経験上、それが最大のリターンを生むと知っているからです。
華僑の時間管理もユニークです。彼らはできるだけスケジュールを空けておきます。これは、いつ旨みのあるビジネスが飛び込んで来てもチャンスを逃さないための処世術と言えるでしょう。彼らは、競争の激しいビジネスシーンでは世界中に競合(代わりの人材)がいると考えます。「今から動けるか?」「すぐにできるか?」といった相談に「できます」と即答できるビジネスマンだけが成功できると信じているため、機会損失を嫌うのです。
ビジネススタイル
ユダヤ人経営者のビジネススタイルは合理的です。彼らは成功を他人や市場原理に委ねず、自らシステムやルールを作って勝負します。彼らに有利なものを作るわけですから、負ける要素は皆無。「ダイヤモンド王」とも呼ばれたアーネスト・オッペンハイマーは、20世紀前半に今なお続くダイヤモンド市場の価格統制・流通システムを構築しました。ダイヤが高価なのは、このシステムのためだと考えられます。
これに対し、華僑のビジネススタイルは「三縁(血縁・地縁・業縁)」を基礎とする広範で強固なネットワークと、経営者による迅速な意思決定が特徴です。このネットワークをフル活用すれば資金、情報、技術、ノウハウがすぐに揃い、起業だけでなくその後の事業多角化や海外展開もスムーズになります。たった1隻の中古船から海運業を始めた実業家の張栄発は、創業わずか16年でコンテナ船では世界初となる世界一周路線を開設。猛スピードで事業を拡大し、エバーグリーンを世界有数の物流企業に育てました。
成功は「偶然」ではなく理由がある
世界の商業において双璧とされるユダヤ人と華僑ですが、その教育論や自己投資の方法、ビジネススタイルには大きな違いがあります。彼らの考え方がすべて正しいわけではありませんし、日本人のメンタリティに合致しているとも限りませんが、それでも、ユダヤ人と華僑が今日の商業界・金融業界をリードしていることは事実。経営者や医師、弁護士といった方々が、彼らの哲学を一部でも自身のビジネスに取り入れれば、可能性はさらに大きく広がるかもしれません。