「癒し」だけではない?別荘ライフで和室と畳の魅力を再発見する|フジヤマクロスロード

40代・50代のためのセカンドライフ2018 / 05 / 10

「癒し」だけではない?別荘ライフで和室と畳の魅力を再発見する

日本文化のひとつである「畳」。古くは奈良時代から存在していたとされ、今日まで1000年以上、脈々と受け継がれてきました。しかし、私たちのライフスタイルが欧米化するにともなって畳を使用した和室はその数を減らしていき、今ではフローリング床の洋室に主役の座を奪われて久しくなります。

ところが最近、「和」の魅力が詰まった空間の価値を見直す動きが強まっており、住まいや別荘に和室を取り入れたいという方も増えているようです。そこで今回は、和室がもたらすメリットや魅力、上手な取り入れ方についてお伝えします。

和室の特徴と魅力

日本文化の中で育まれてきた和室は、「日本の気候風土に非常に適した形」といっても過言ではありません。あらためて、和室の魅力を見返してみましょう。

汎用性が高い

洋室ではダイニングやベッドルームなど、ひとつの部屋をひとつの用途・目的で使う場合がほとんどです。しかし和室では移動可能なちゃぶ台(ローテーブル)や布団などを用いるため、必要に応じてさまざまな用途で部屋を使うことができます。和室では基本的に椅子を使用しないため、大人数の来客があった際も椅子の数を気にする心配がありません。この部屋の柔軟性の高さは、和室ならではといえるでしょう。

調湿性に優れている

和室に使用される木材や畳には、空気中の湿気を取り込んで排出するという機能が備わっています。湿度が高いときには湿気を吸収し、逆に湿度が低いときには湿気を排出して、自然に湿度の調節を行ってくれるのです。また、畳は稲わらで編んだ「むしろ」を何層も重ねて作られており、間には空気を多く含んでいます。そのため調湿効果だけでなく、防音や断熱にも効果を発揮してくれます。

安全性が高い

内部に空気を多く含んだ畳は、フローリング床に比べてクッション性があります。そのため子どもが畳の上ではしゃいで転んでしまったとしても、ケガの危険性を軽減してくれます。子どもだけでなく、犬・猫などのペットも同様です。

癒しの効果がある

畳に使用されるイグサに独特な香りがあるのはご存知の通り。この香りには、鎮静効果や精神を安定させてくれる成分が含まれています。また、イグサの光の反射率は日本人の皮膚の反射率とほぼ同じと言われており、そういった点でも「人を安心させる効果」があると考えられています。

知っておくと便利な「畳」の種類

一口に畳と言っても、その種類はさまざま。和室に魅力を感じ、畳のある生活を取り入れてみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

「縁あり畳」と「縁なし畳」

縁の縁(へり)に布がつけられた畳を「縁あり畳」といいます。この布は畳表の角の摩耗を防いだり、畳を敷き合わせる際にできやすい隙間をしめたりするのが役割です。この布がないものを「縁なし畳」と言います。

「一畳サイズ」と「半畳サイズ」

畳の大きさには、主に「一畳サイズ」と「半畳サイズ」の種類があります。一畳のサイズは地域や住宅の形態によって変わり、主に以下のようになっています。

  • 団地間:170cm×85.5cm=約1.45㎡
  • 江戸間:176cm×88cm=約1.55㎡
  • 中京間:182cm×91cm=約1.65㎡
  • 京間:191cm×95.5cm=1.82㎡

 

ただし、不動産の表示に関する公正競争規約施行規則「物件の内容・取引条件等に係る表示基準」では「一畳は1.62㎡以上」と定義されており、これがひとつの基準です。

一畳サイズの畳が長方形なのに対し、半畳サイズの畳はほとんどが正方形です。大きさは、およそ「80cm×80cm」~「90cm×90cm」のものが多く、有名な琉球畳もこの半畳サイズに分類されます。自営業など商売をしている方の中には、この半畳サイズの畳を互い違いに敷いて升目状にデザインする方も少なくありません。これは、「商売益々繁盛(升升半畳)」というゲン担ぎになっています。

「和紙畳」と「置き畳」

「和紙畳」は、イグサの代わりに和紙を使用して作られる畳のことです。イグサを使用した畳とは違い、ほとんど変色しないことやカビ・ダニが発生しづらいことなどがメリット。和紙畳はイグサ独特のにおいがないため、このにおいが苦手という方も安心です。「和室は欲しいけど、畳はちょっと......」という方におすすめの畳と言えるでしょう。手軽に畳の空間を取り入れたい場合は、「置き畳」(フローリングに置くだけの畳)がおすすめ。床に置くだけなので工事なども必要なく、好みに合わせて畳の空間をデザインできます。

洋室ベースの住まいや別荘に和室を「同居」させるコツ

テイストやカラーを合わせる

洋室と和室を同居させるのであれば、まず洋室部分と和室部分の色合いを統一させるようにしましょう。畳といっても「亜麻色」「栗色」「白茶色」「若草色」「墨染色」「乳白色」などさまざまな色のものがあり、さらに和紙畳などの中にはよりポップなカラーリングのもの増えています。また、縁の有無によっても雰囲気はガラリと変わるため、しっかりと見極めなければなりません。

壁や天井のつながりを意識して開放的に

洋室ベースの住まいの一角に違和感なく和のスペースを設けたいのであれば、壁や天井は周りの部屋に合わせながら、畳・障子・ふすまなどを取り入れると良いでしょう。あまり和室と洋室をはっきりと仕切らず、あえて開放的な形で一体感を持たせながら和を取り入れるのも手です。

洋室の一部を和室化

リビング・ダイニングに和の空間が欲しい場合は、和室部分を小上がりにしてみてはいかがでしょうか。部屋の中に段差を付けることで、同じ室内でありながらも「独立した空間」を演出できます。小上がりの下部分を収納スペースにできるのも、嬉しいポイントです。また、一部に置き畳を敷くだけでも洋室を和室化できます。置き畳は選ぶ色によって部屋のアクセントにしやすく、インテリアに合わせて移動させることも可能なので、気軽に試してみてはいかがでしょうか。

「和」を取り入れた空間で、豊かな別荘ライフを

古くから日本人の生活の中で受け継がれてきた和室。最近では和室のある家がめっきり少なくなっていますが、「家の中に和の空間が欲しい」と思っている方も少なくないはずです。最近では洋と和を融合させた「和モダン」な空間作りも注目を集めています。これを機に、多くの魅力に溢れる和の空間を、別荘やセカンドハウスに取り入れてみてはいかがでしょうか。

別荘の和室から眺める四季折々の富士山麓の景色――それはきっと、自分が日本人であることの喜びを感じさせてくれるはずです。