HOME > ライフスタイル&グルメ紹介 > 人々|Vol.15 生命を育てるという、実感と満足「10坪農園」
ご自分の手で土にふれ生命を育てるという歓びは、人が本来持っている根源的なものじゃないでしょうか。」そう語るのは、花の都公園スタッフの高村氏です。
広大な敷地の中に一面の花畑が広がり、さらに全天候フローラルドームや清流の里など、山中湖の豊穣な自然を生かした様々な施設が並ぶ、山中湖 花の都公園。春から秋にかけては季節ごとの花が見事に咲き誇り、山中湖エリアの名所のひとつにも数えられます。
この花の都公園では、山中湖の自然の豊かさを見ていただくだけでなく、実際に感じていただこうと、5年前から「10坪農園」という企画をスタートしています。
これは自然に親しむ機会の少ない方々に、雄大な富士山に見守られた山中湖の自然の中で、大地にふれ土とたわむれて健康的な汗を流す無農薬野菜や花づくりをもっと気軽に楽しんでいただくためのプロジェクトです。
園内の一角、10坪ごとに仕切った70区画ほどを、整備された自家農園として貸出し、契約者は、それぞれお好きな作物や花を自由に栽培することができます。
「都会からご夫婦で、毎週末の楽しみとして土や野菜のお手入れにいらっしゃる方が多いですが、中にはほとんど毎日のようにご自分の農園を見に来られる方もいらっしゃいますよ。年齢層としては中高年の方や、勇退されて自適な毎日を楽しんでいらっしゃる方が多いですが、若いカップルなどもいらっしゃいます。お住まいやご職業はそれこそ多種多彩。さまざまな年代の方がそれぞれの楽しみ方で、健康的に汗を流していらっしゃいますね。」
すでにご自身で家庭菜園などの経験をお持ちの方はもちろん、まったくの初心者でも、農業経験豊かなインストラクターたちの指導で、夏から秋にはたっぷりの収穫を得ることができるそう。
特に皆さんに慕われているのが、ご自身の農業経験が最も長いご高齢インストラクターのおじいさん。
「地元の農家の方なのでここの方言で指導されるんですが、契約者の皆さんにとってはその言葉の響きがまた温かくて嬉しいと、インストラクターの中でもいちばんの人気です。でもかなり強い方言ですから、言葉の意味自体がわかりにくいようで。(笑)私が通訳のような役割になってしまうケースも多いんです。」
土はもちろん、人との温かなふれあいを通して、やっと手にする自分の収穫物。その嬉しさはやはり体験した人だけに与えられる宝もの。
こうして大きな歓びとともに手にしたトウモロコシやジャガイモ、ナスなどの収穫物を、それぞれが持ち寄っての収穫祭やバーベキューなど、期間中は折々に、様々な企画も催されているそうです。
「同じ場所で同じ農園作業をしていますから、近隣の皆さんとも自然に連帯感が生まれ、また横のつながりも強くなってくるんですね。皆さんそれぞれお忙しいと思うのですが、収穫祭にはいつも20人から30人ほどがお集まりになられます。しかも皆さんがご自分の自慢の作物をお持ちになるので、まるで大試食会のような楽しい雰囲気になるんですよ。」
「このあたりは富士山の湧水が豊富ですから、四季を通して清冽な水がふんだんにあるんですね。特に都会の方々にとっては、手でふれた水の冷たさにとても驚かれることが多いんです。ふだん水道の水に慣れている方にとっては、こうした一つひとつのことが新鮮な体験になるんですね。最初は正直、そんなことで驚く人を見て自分自身が驚いたものです。でもこれまでの10坪農園での経験を通して、そうした皆さんの驚き自体が私自身の新たな発見になり、本当にたくさんのことを学ばせていただきました。この地域に暮らす私たちにとっては当たり前のことが、特に都会で暮らしている方にとっては貴重な歓びになるという、その意味に気がついたんです。」
山中湖の豊かな自然の中で暮らしているからこそ、その自然と環境の素晴らしさを、まだ知らない多くの方に体験してもらいたい。その橋渡し役として、10坪農園の契約者の方々ともっともっと「人」としての交流を図っていきたいと、高村氏は続けます。
(冨塚氏)
自分だけの大地、自分だけの作物を慈しみ、作業の後にはゆっくりと温泉につかってリラックス。夏から秋には世界でひとつの収穫物を得る歓び。
誰でもそんな週末を楽しめるのが、この10坪農園の最大の魅力です。
花の都公園では毎年2月から新規の農園貸出しを受け付けており、その年の4月から11月までの8ヶ月間は、ご自分の農園として自由に栽培にお使いいただけます。
料金も、農業指導やクワやスコップをはじめとする農機具の貸し出しを含め、一万五千円程度ととてもリーズナブル。
山中湖での週末をより楽しく充実した癒しの時間にしてくれる、花の都の10坪農園。是非あなたも気軽に参加してみませんか。
地元山中湖のご出身。
10坪農園プロジェクトの初期から運営に携わり、気候や土壌など、野菜栽培に不可欠な地元の情報を熟知することから、契約者の方々からのさまざまな質問や相談などに答えるとともに、より楽しい農園運営を実現すべく契約者間のつながりを深める各種企画なども立案している。
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