山中湖の隠された魅力を、続々発信
観光協会が企画するユニークな体験ツアー

「観光協会って、一般の方にとっては観光案内所のイメージだと思うんですよね。実際に私たちが企画したツアーについて『観光協会が主催する旅行ツアー？』と驚く方も多いんですよ」

そう語るのは、山中湖観光協会の松山美恵さん。

松山さんのご出身は埼玉。芸術系の大学を卒業後、東京で長年、映画やプロモーションビデオなどの映像関係の仕事に携わっていましたが、約７年前に山梨県に移住し４年前に山中湖観光協会の職員になられたという経歴をお持ちです。

移住のきっかけや経緯についてお聞きしてみると、「震災を機に、気づかされることがたくさんありまして、一度、長年馴染んだ仕事を離れて新しいことに挑戦してみようと思い立ったんですね。そこで選んだのが『自分の手でお米を作ること』だったんです。そんな私の希望する無農薬のお米づくりを指導してくださる方を探しているうちに富士北麓にたどり着き、やがて東京から足繁く通ってお米づくりをする生活の中で、この地域の本当の豊かさを自分の身体と心で実感することができたんです」とのお答えが。

そんな風に自分自身が体感したこの地域の豊かさと魅力を、もっともっと多くの方に知って欲しいという思いを抱いているさなか、ちょうど知人からの紹介を得て、山中湖観光協会に新メンバーとして加わったのだそうです。

さらに、そんな松山さんとちょうどタイミングを同じくして、観光協会に外部から招聘された新事務局長が就任したことが、この体験ツアー企画を立案するきっかけとなりました。

それまでの職歴から旅行プラン立案に関する知識と経験に富んでいた新事務局長を中心として、山中湖の新たな魅力を発信しようという意欲を持った協会メンバーが意を同じくし、この全国的にもユニークな観光協会によるオリジナル体験ツアーのプロジェクトがスタートしたのだそうです。

体験ツアーは、「アクティビティ＆スポーツ」「トレッキング・ハイキング」「ネイチャー」「リラクゼーション＆癒し」「陶芸＆ものづくり」「山中湖で学ぶ」の大きく7ジャンルに渡って数多くのプランが企画されており、さらに外国人観光客に向けた「F o r F o r e i g ntourists」、観光協会スタッフのお勧めチョイス「今、とっておきプラン」を加えたラインナップで運営されています。

山中湖の持つ魅力に、時代の空気がマッチした

軌道に乗るまでに幾多のハードルを超えながらも、発表当初からスタッフ県内でも数少ない、旅行業登録を持つ観光協会が企画立案する体験ツアーとはの予想を超える人気を誇ってきたこの事業。それが今、withコロナの新たなライフスタイルが世間に広く浸透してきた中で、さらに問い合わせや参加者が急激に拡大してきているのだと言います。

「今回のコロナでの巣ごもりを通して、誰もが閉塞感のある生活から開放されて爽快な時間を過ごしたいという気持ちを抱きました。とは言えこれまでのように大集団が集まってワイワイと移動するような観光は回避したい。多くの方のそんな想いが私たちのツアーへの共感に結びついているのではないでしょうか」

松山さんによるとご自身を含めた協会スタッフは皆、山中湖の良さの一つに「俗化していない環境と静けさ」を共通項として挙げているそう。山中湖の持つ落ち着いた雰囲気と、その魅力を深くゆっくりと味わいたいという時代の空気が、ちょうど今ぴったりとマッチしているのかもしれません。

「この体験ツアー事業が確立できたのは、そんな時流や新事務局長の就任タイミングに加えて、スタッフがアクティブ志向揃いだったというのも忘れてはいけない要因だと思っています。私を含めてメンバー全員が自分の趣味の知識や体験を生かしてさまざまなアイディアを考案し、互いに意見交換をしながら、体験ツアーの企画を練り上げているわけですから」

観光客のもたらす、外からの視点も企画発想の大きな原動力

地元民だからこそ知り得る情報に加えて、スタッフ全員がより高くアンテナを掲げることで山中湖の恵まれた自然資産の新たな側面に光を当て、観光客の声なき声に応えるとともに、新たなニーズの掘り起こしを行っているこの事業。

その一方で、観光客からの問い合わせによって、意識していなかった疑問や視点に気づかされ、新鮮な驚きを抱くことも多いのだと言います。

「体験ツアーに関してはさまざまなお問い合わせがあるのですが、実際にお声を受け付けてみると、私たちが想定していなかったようなご質問も多いんです。その場でお答えできなかった件については詳しく調べたり確認したりするのですが、こうした中で私たち自身もまったく気づいていなかった新たな発見を得ることがとても多いんです。そんな体験を通して、地元民ならではの知識や情報と、外部のお客様からの新鮮な視点の双方があって初めて、本当に魅力的な催しを創りあげることができるんだなと実感しています」

松山さんを始め、熱い想いを抱いたスタッフたちが企画するツアーは、長期にわたって催行されている定番企画から、季節ごとに随時入れ替わるツアーまで多種多彩。時にはピンポイントの日時で、特別な歳時に合わせた新しいプランを作成することもあるのだそうです。

そこで現在ホームページにアップされている約20種のツアーの中から、これからの時期にお勧めの企画を松山さんにご紹介していただきました。

●死ぬまでに一度は見たい瞬間「ダイヤモンド富士」

「これからのお勧めはまずは『ダイヤモンド富士』。富士山頂に太陽がさしかかる感動の瞬間をぜひご自身の目で捉えていただきたいですね。鑑賞できる期間は11月から2月までの間で、ツアーでは富士山の歴史やダイヤモンド富士、簡単な撮影に関するレクチャーも行います」

●氷上のチェス！カーリング体験

「山中湖には世界初の会員制カーリング場があるのをご存じでしたか？　オリンピックでも人気種目のカーリングは、体力と知力を競うことから、社内研修などのチームビルディングスポーツとしても注目を集めているんです」

●魅惑のスターウォッチング

「秋以降ますます澄み切ってくる夜空をゆっくりと鑑賞できる企画が、スターウォッチング。富士山の上に煌めく星座がそのまま山中湖に映り込む幻想的なシーンを体験できます。専門のガイドさんが語る星や宇宙の話は、初めて知ることだらけで飽きることがありません」

ふだんから別荘でお過ごしの皆さんはもちろん山中湖の魅力をよくご存じだと思います。しかし皆さんの気づいていない奥深い魅力がまだまだ隠されているのも事実。

いつものライフスタイルからほんの一歩を踏み出せば、きっとそこには皆さんの知らなかった新しい喜びや、興味のつきない発見の数々が待っています。

また一つ、新たな山中湖の魅力を見つけるためにも、ご興味のある体験ツアーを選んでぜひ気軽に参加してみませんか。