異世界へ連れ出してくれる、
山中湖の“しずく”

サウナにハマって気づいたこと

ドライサウナ、フィンランド式サウナ、スモークサウナなど、一口にサウナと言ってもさまざまなサウナがあることをご存知でしょうか？数年前に、現代人の心と身体を癒すサードプレイスとして脚光を浴び、今やすっかり私たちの暮らしのスタンダードとなったサウナの世界。「僕もサウナにどハマりした1人なんです」。話しを聞かせてくれた山口さんは、本場フィンランドでサウナを楽しむ自身の写真入り名刺を渡しながら恥ずかしそうに言います。「都内に暮らしていた時は、日常的にサウナに行っていました。そのうち、旅行先でも楽しむようになり、やがてサウナを求めて旅するようになりました。ある時ふと“サウナは、寒い気候であればあるほど気持ちが良い”ということを知り、故郷である富士五湖地域がサウナ環境に適していることに気づきました」と山口さん。家業を継ぐため山梨にＵターンして、「しずく」の前身、山中湖畔で20年以上続く旅館「多賀扇」で働き始めました。その後、同旅館のリニューアルが決定、運営を任されることになった山口さんが目指したのは、“日本一のサウナ宿”でした。

オンリーワンの宿

本場のサウナを求めてフィンランドに1カ月間滞在した経験を持つ山口さん。「森と湖の楽園と呼ばれるフィンランドは、ここ山中湖ととても環境が似ていました。まだ未開拓な部分を残す豊かな自然とキンと冷えた空気、そして清らかな水、最高のサウナ条件が山中湖に揃っていたのです」。冬の寒さがマイナス面として取り上げられることが多かった山中湖で、山口さんが考案する新たな視点のサウナ宿は、多くの人の期待を背負うことになりました。

全20室あった「多賀扇」の客室を14室に改装し、空間を贅沢に使用した「しずく」のリニューアルを手がけたのは、数々の実績を持つデザイン事務所。北欧をイメージした館内は、山中湖の自然から切り取ったアースカラーと、“しずく”や“もくもく”を連想させる曲線のオブジェやインテリアがとても印象的です。そして、室内のどこに居ても、素敵な写真が撮影できるという空間設計にもこだわったといいます。「全国的に見ても全室サウナ付き宿は非常に珍しいと把握しています（２０２４年７月現在）。高級旅館というと、茶色のイメージが強い中、その期待を良い意味で見事に裏切るデザイナーズ旅館が完成しました」

「しずく」の過ごしかた

「しずく」を訪れる人のほとんどは、サウナが好きという共通点を持っています。もちろん、サウナにまだ入ったことのない人や、お目当てが食や豊かな自然を楽しみたい人であったとしても、十分に満足できる旅を提供するのが「しずく」の魅力です。早々にチェックインを済ませ、お部屋に設置されている豪華北欧産木材を使用したサウナにしっかり入り、目の前に広がる大迫力の富士山や山中湖をボーッと眺めながら外気浴や水風呂を楽しむ人もいれば、各部屋に用意された厳選コーヒーを北欧有名ブランドのカップに丁寧に注ぎ、静かな時間を過ごした後、地場の素材をふんだんに使った自慢の創作フレンチコースを堪能する人など、それぞれの時間をゆっくり過ごせます。「室内には、テレビやプロジェクターはありません。当宿を存分に楽しんでもらうため、さまざまなお客様の過ごし方を想像し、細部にまでこだわったサービスを徹底しています。敢えてアナログを大事にしている部分もあり、人と人とのつながりを育みながら、旅の記憶に残してもらいたいと考えています」と山口さんは語ります。

山中湖の魅力を世界へ伝えたい

「山梨で生まれ育ったのに、まだまだ地元のことを知らないと改めて気づかされました。提供する料理の食材は、できるだけ上質な地場のものを使っているのですが、初めて見るもの、食べるものもありました。山中湖、そして山梨の魅力をさまざまな角度から再発見でき、私自身も日々楽しみながら暮らしています」と山口さん。夕食や朝食に並ぶ、料理やパン、スイーツは、もちろん全て手作りで、一品ずつ丁寧に可能な限り、料理に山梨の息吹を吹き込んでいきます。朝食では、フィンランドの朝食を地場の食材と掛け合わせて完全再現していることもあり、北欧好きな人がこの朝食を求めて宿泊することも少なくありません。「今後は、サウナはもちろん、山中湖の美しい自然や水、そしてここに暮らす人々の魅力をこの宿からもっと発信していきたいと考えています。そして、世界中の人々がわざわざ訪れたくなるような場所にできたら嬉しいです」と今後についても教えてくれました。まずは、まだ見ぬ新しい山中湖を「しずく」を通じて、体験してみませんか？きっと、ここにしかない特別な時間があなたを待っています。