コンセプト・ヴィレッジの人々
Vol.55
雑多で、静かで、文化的
別荘で音と文字にひたる週末
編集者/コラムニスト
佐藤誠二朗さん
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コンセプト・ヴィレッジの人々
Vol.55
編集者/コラムニスト
佐藤誠二朗さん
佐藤さんは、普段は東京で高校生の娘さんと2人暮らし。昨年、山梨のテレビ局に再就職した奥さまは、甲府市内の家に実父とともに住んでいます。山中湖村の家を含め3拠点生活という慌ただしいマルチロケーションの暮らしの中で、この山の家は役割がはっきりしているのだとか。詳しく話を聞きました。
「ここは、普段はバラバラに住んでいる家族が集結し、ゆっくり休むための家。そして特に僕にとっては、好きなものと向き合う場所でもあります」
そう話す佐藤さん宅のリビングには名機と呼ばれるレコードプレーヤー、テクニクスのSL―1200が鎮座しています。その横には、ギターアンプを模したフェンダーのスピーカー。昔から音楽が好きな佐藤さんの東京の家には、CDが何千枚もあるそうですが、山の家に持ち込んでいるのは敢えてレコードだけなのだとか。
なるべく良い音で聴きたいというこだわりがあるのかと思いきや、どうもそうではないようでした。
「僕はパンクやオルタナティブのような、勢い重視のがさつなラウドロックが大好きなので(笑)、音質には全然こだわりがありません。オーディオマニアになる素質も資格もないんです。聴く手段は、CDでもレコードでもストリーミングでも、なんでもいいですし。それでも山の家でレコードばかりかけるのは、なんだろう? まあ雰囲気ですかね(笑)。レコード盤に針を落とすという、昔覚えた音楽を聴くための儀式が、ここだとより心地よく感じるんです」
使い慣れた機材で聴き慣れた音をかけると、気持ちが整うという佐藤さん。山の静寂に、ザラついたギターのリフが心地よく響いていきます。
音楽と並び、この〝山の家〟で重要なのが本。家のあちこちに本棚が据えられています。
「編集者という仕事柄もあって、本は増える一方で困ったものです(笑)。ここにあるのはやはり、全体のごく一部。山の家に持ってくる本の基準は特にないですが、手放すつもりがないほど気に入っているものが多いかも」
本棚には、漫画、バンドの評伝、自然科学系の図鑑、写真集、歴史や紀行本、小説などが脈略なく並びます。
「めちゃくちゃでしょ。乱読野郎なんです(笑)。山の家の本棚には、気楽に読める漫画が多めということ以外、傾向らしい傾向はありません。ただ、手を伸ばせばすぐ届く身近なところに、好きなレコードや本が、適当に転がっていることが理想。それだけで、この家の空気が心地よいものになる気がするんです」
編集者・ライターとして30年以上活動してきた佐藤さん。2000年代には、宝島社の人気ファッション誌『smart』の編集長を務めました。2023年には山中湖生活を綴った『山の家のスローバラード』(百年舎)を刊行。そして今年2025年8月には、自身が入れ込む80年代の日本のインディーズ音楽シーンを描いたノンフィクション、『いつも心にパンクを。』(集英社)を刊行予定です。
「こじつけるつもりはないけど、ここの暮らしも〝インディーズ〟に近い感じ。他に流されず、自分で見つけて実践する自分の暮らしという感覚です」
将来的には、溜まり続ける本やレコードを使い、何か面白いことができないかという〝妄想〟もあるのだとか。
「山中湖が好きなので、この村のどこかにブックカフェとか開きたいです。それか、中古の図書館車を手に入れて、移動式のブックカフェ。山中湖を拠点に各地へ足をのばし、旅をしながら暮らすのも面白いかも。いま溜め込んでいる好きなものの活用法を考えないと、もったいないなって(笑)」
3拠点生活は楽ではないけど、山の家にいるときは肩の力を抜き、雑多なものとゆるやかに暮らすことができるのだそうです。
ソファを占拠しがちな犬と居場所争いをしながら読みかけの本を開き、雑音が混じる古いレコードの音に耳を傾けるのは至福の時間なのだとか。
「文化が沈殿した空気のなかで暮らしてるというイメージかもしれません。そんな空気に身を委ねて東京に戻ると、また発信する意欲が湧きます」
レコードと本と犬と家族に囲まれ、心地よい風が吹き抜ける山の家。そこには、肩ひじを張らない文化的な暮らしがありました。
1969年東京生まれ。宝島社の雑誌「smart」の元編集長。現在はフリーランスとして、幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書に「ストリート・トラッド」(集英社 2018)、「オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック」(集英社 2021)、「山の家のスローバラード」(百年舎 2023)など。2025年8月には1980年代からの日本のインディーズシーンを追ったノンフィクション新刊「いつも心にパンクを。」(集英社)を発売する
著書:山の家のスローバラード
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