仕事も休暇もウェルネスに。夏バテに効く行動習慣と食べ物
40代・50代のためのセカンドライフ2018 / 09 / 20
セカンドライフは40歳・50歳からの人生設計次第!?孔子の『論語』から第二の人生を考える
「四十にして惑わず」「五十にして天命を知る」――これらは中国の思想家で、儒教の始祖でもある孔子の言葉です。リタイア後・定年退職後の「第二の人生設計(セカンドライフプランニング)」においては、40歳(不惑)・50歳(知命)というタイミングが大きな分岐点になります。では実際に40代・50代になった時、これからの長い人生をどのように捉え、受け入れ、過ごしていくべきなのでしょうか。
大人のライフスタイルや上質な時間の過ごし方に光を当てるフジヤマクロスロード、今回は40代・50代にとって気になる「第二の人生を豊かにするための準備」について考えていきます。
孔子は人生の区切りとなる年齢をどう見たか
孔子とはどのような人物だったのか
孔子は中国・春秋時代の思想家・哲学者であり、儒教の始祖とされている人物です。紀元前6世紀に中国の小国・魯で生まれ、母一人子一人の貧しい家庭で育ちます。貧しいながらも勉学に励み、やがて政治の道を志しました。しかし20代で魯に仕官した孔子が役人として名を成したのは、50代になってからのこと。今まで積み重ねてきた実績が認められ、ようやく要職に就くことができました。
しかし魯の発展を脅威と捉えた他国の謀略によって国内政治が乱れると、孔子は官を辞職。以後十余年にわたり亡命生活を送ります。晩年、魯に戻った孔子は政治を離れて私塾を開き、教育と著述に専念。生涯で3,000人ともいわれる弟子を育て、74歳でこの世を去りました。
論語の一節から考える、「歳を取ること」とは
吾十五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑はず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)ふ。七十にして心の欲する所に従えども、矩(のり)を踰(こ)えず。
冒頭でもご紹介しましたが、こちらは有名な論語の一節です。これは孔子の人生を振り返った言葉で、いわば「人生観」とも言えるもの。わかりやすくまとめると、以下のようになります。
- 十五歳の時に、自分の求める学問を究めていくことを決心した。
- 三十歳で学問の基礎が作られ、自立することができた。
- 四十歳になると、心に迷いがなくなった。
- 五十歳になり、天が自分自信に与えた使命を悟った。
- 六十歳になると、人の言うことを素直に理解できるようになった。
- 七十歳になると、心の思うままに行動しても人としての道理を外れることはなくなった。
過酷な人生を歩む中で、歳を取るとともに成長を遂げてきた孔子。「歳を取る=ネガティブなこと」ではなく、老いてなお「できるようになった」「わかるようになった」と前向きに捉えていたことが読み取れます。このような精神的な進歩を日々続けていくのはそう簡単ではありませんが、人生における一つの目安として考えておくとよいかもしれません。
「不惑」「知命」がセカンドライフ設計の重要なテーマに
論語には「四十歳にして惑うことがなくなり、五十歳にして天命を知った」とありますが、実際に40歳を迎えて「心の迷いがなくなった」という方はあまり多くないのではないでしょうか。
紀元前に学者たちによってまとめられた思想書『淮南子(えなんじ)』の中で登場する言葉に、「五十にして四十九年の非を知る」というものがあります。これは「五十歳にもなると驕りや妥協が生じるものだが、今までの人生を省みて己を律し、さらに成長していくべき」という意味の言葉です。この言葉を残したとされる蘧伯玉(きょはくぎょく)は、孔子と同時代に生きた政治家で、老年となっても過去の過ちを改め、新しい自分を追求し続けた人物として知られています。
大切なのは、年齢にかかわらず成長を重ねていくこと、そして常に自分らしくあり続けることではないでしょうか。自分を見つめ直して再発見と成長を続け、天から与えられた使命を見出す。そしてそれに向けて自分らしく生きていく設計図を明確にする――。40代・50代からのセカンドライフプランニングでは、孔子が言うところの「不惑」と「知名」が重要なテーマになるのかもしれません。
最近の40代・50代は若い、そしてシニアも若い
生涯現役という考えを持つ人が増加中
まだ若い頃、「40代・50代といえばもうおじさん(おばさん)」と思っていた方も少なくないはず。しかし、いざ自分がその年に差しかかってみるとどうでしょうか。意外とまだまだイケる――そう感じませんか? 今の時代の40代や50代には若々しい方が非常に多く、「生涯現役思考」が強い方も少なくありません。さらに、還暦や定年退職を迎えても趣味やさまざまな活動に意欲的に取り組みながらセカンドライフを楽しむアクティブシニアも増えており、「シニア」「老後」といった言葉の価値観も変わりつつあります。
右肩上がりで伸びている健康寿命
厚生労働省が行っている施策「健康日本21」の発表によると、平成28年の健康寿命(健康問題がない状態で日常生活を送れる期間)は男性が72.14歳、女性が74.79歳となっており、平成22年と比べて男性で1.72歳、女性で1.17歳の上昇を見せています。また、厚生労働省が発表した「平成29年簡易生命表の概況」によれば、平均寿命(男性81.09歳/女性87.26歳)も過去最高を記録。健康寿命・平均寿命ともに年々右肩上がりで伸びています。
つまり、以前に比べてより長く第二の人生を楽しむことができるようになっているということです。以前は「リタイア後=余生」といった捉え方が主流でしたが、健康寿命が長くなった現在では、「リタイア後=有意義に過ごせる膨大な自由時間」と言い換えてもおかしくないような状況になってきました。
長い人生を楽しむために必要なライフプランニング
健康寿命・平均寿命が延びているということは、それだけ長く人生を有意義に過ごせる可能性があるということ。現在の日本では65歳以上を「高齢者」としていますが、先ほどからご紹介しているように、近年では一昔前の"年老いたイメージ"とは大きくかけ離れた65歳の方が多くいます。元気で自由に過ごせる第二の人生を無駄にしないためには、「今後の人生をどのように過ごすか」を考えるセカンドライフプランニングが重要です。
セカンドライフプランニングの軸は「生きがい」
セカンドライフプランニングの考え方
セカンドライフプランニングというと、「貯蓄」「保険」「年金」「節税」といったマネー面ばかりがピックアップされがちです。もちろんこうした第二の人生を過ごすための"手段"も重要ですが、同様に「これから何をして過ごすべきか(過ごしたいか)」という本質的な目的も考えなければいけません。
一生を仕事に捧げてきた方の中には、「仕事から離れたら何をしたらいいのかわからなくなった」という方も多くいらっしゃいます。リタイア後・退職後の生活がすぐに思い浮かばない場合は、以下のシンプルな3つの願望を軸に考えてみてみましょう。
- 何をして過ごしたいのか
- 誰と過ごしたいのか
- どこで過ごしたいのか
この三つの軸を考えてみれば、おのずと「自分は何がしたいのか」が見えてくるのではないでしょうか。大切なのは、自分の「生きがい」を見つけること。成長を続けるために新しいことを始める、困っている人のためになることをする、大好きな趣味を極めるといった生きがいを探し、セカンドライフを単なる「余生」ではなく、「希望に満ちた第二の人生」にしていきましょう。
注目されている「シニア起業」という選択肢
第二の人生の過ごし方はさまざまですが、近年では、第二の人生で新たな仕事をスタートさせる「シニア起業」を選ぶ方も増えているようです。50代以降は「自己資金が比較的豊富であること」「経験や人脈の蓄積があること」「予算や人員の管理経験があり能力に長けていること」など起業に必要な条件が整っていることが多いため、シニア世代の起業は今後も増加していくことが考えられています。
気にしておきたい40代・50代からの落とし穴
その後の豊かな人生を考えるチャンスである40歳(不惑)・50歳(知命)というタイミングには、注意しなければならない落とし穴もあります。
ミッドライフ・クライシス(ミドルエイジ・クライシス)
40代は人生の後半を考え始める時期であり、生き方・考え方などが変化し始める時期でもあります。そういった中で陥りやすいのが「ミッドライフ・クライシス(ミドルエイジ・クライシス)です。「自分の人生とは何だったのだろう」「この先どうなるのか」というアイデンティティや自己肯定感の変化における心理的危機や、「加齢による身体的な変化(衰えの実感)」「家族構成・ライフサイクルの変化」「職場での立場(昇格・異動)や環境の変化」などによるストレスが原因で引き起こされると言われています。
こうしたクライシス(危機)を乗り越えるには、今一度自分と向き合い、先を見据えた「不惑」と「知名」のライフプランニングで「自分が大切にするもの(こと)」を再確認・再認識することが重要です。ポジティブに考えるのであれば、これからの人生を考える絶好のチャンスと言えるかもしれません。
増加傾向にある熟年離婚
リタイア後の第二の人生では、配偶者・パートナーと過ごす時間が増加する傾向にあります。それ自体は決して悪いことではありませんが、同時に関係性の変化が夫婦間のトラブルへと発展してしまう可能性を孕んでいます。二人でいる時間が長くなることで「理想と現実のギャップ」が生まれてしまったり、子どもが自立したことで夫婦としての関係性が薄れてしまったりと、トラブルの要因はさまざまです。
そういったトラブルが起こることで不安視されるのが、熟年離婚。近年では離婚事例全体における40歳以上の割合が増えていると言われており、円満で充実したセカンドライフを送るためには何らかの対策を考えておく必要があるでしょう。
準備することで高まる、セカンドライフの満足度
こうした「人生の落とし穴」を避けるには、これからの人生設計を今のうちからしっかりと考えておくことが重要です。当たり前のことかもしれませんが、事前に準備をしていた人ほど、満足度の高い第二の人生を送りやすい傾向にあります。自分の将来はもとより、家族との時間の過ごし方などをしっかりと考え、明確なビジョンを頭に描いておく必要があるのかもしれません。
別荘(セカンドハウス)を持つという考え方
趣味を楽しむための選択肢
第二の人生を楽しむためには、趣味・こだわりなど自分なりの「生きがい」を持つことが大切です。そして、それらを踏まえたうえで前向きなライフスタイルを計画していく必要があります。
そういった中で別荘は、気兼ねなく羽を伸ばすことができる場所であると同時に、趣味やこだわりを実現できる場所にもなってくれるはずです。アウトドアや自動車、バイク、DIY、映画鑑賞、スポーツ、バードウォッチングなど同じ趣味を持ったほかの別荘オーナーとの交流も生まれやすいため、新しいコミュニティを通してさまざまな刺激を得ることもできるでしょう。
夫婦のセカンドライフを充実させる場所
結婚している場合、自然と夫婦の時間が長くなるセカンドライフにおいて夫婦の関係を円満に保つには、共通の趣味を持つ、旅行などのアクティビティに興じるといったアプローチがおすすめです。別荘は二人の共通の趣味を楽しめる空間でもあり、それぞれが気ままに時間を過ごせる場所にもなります。
近年では、複数の生活空間を行き来しながら自分たちらしい生活を実現する「マルチハビテーション」というライフスタイルも一般化してきています。非日常的な空間(別荘)で過ごす時間を持つことで、新鮮さのある関係を維持しやすいという利点もあるようです。
第二の人生を謳歌するためには準備が不可欠
健康寿命・平均寿命がともに右肩上がりで伸び続け、年を重ねても元気で若々しいアクティブシニアが多い昨今、「人生百年時代」という未来もそう遠くないのかもしれません。そのような流れの中で、残された時間を「余生」ではなく「第二の人生」として有意義に過ごしていくには、早いうちから将来の人生設計を行うことが大切です。孔子にとっても重要なタイミングとなった「40歳(不惑)」「50歳(知命)」の今、ご自身やご家族の「これからの充実」に向き合い、セカンドライフプランニングをしてみてはいかがでしょうか。