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リタイア後の充実は仕事にあり?50代から考えたいシニア起業
長年にわたって仕事に情熱を燃やし続けてきたビジネスパーソンや経営者でも、いつかは定年退職や退任といったリタイアのタイミングが訪れます。そこで気をつけたいのが、ライフスタイルの中で大きなウェイトを占めていた仕事から離れることによって、「生きがい」や「やりたいこと」を見失ってしまうことです。
それを回避するための選択肢としては趣味やボランティアなどが考えられますが、近年注目を集めているのが、「第二の人生で別の仕事をスタートさせる」という選択肢です。今回のフジヤマクロスロードでは、50代からのシニア起業の実情および考え方についてご紹介します。
データから見るシニア起業の実情
中小企業庁の調査によると、50歳以上の起業希望者および起業家の割合は年々増加の傾向にあります。具体的には下図の通りです。
1979年 | 1982年 | 1987年 | 1992年 | 1997年 | 2002年 | 2007年 | 2012年 | |
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起業希望者のうち50歳以上の割合 | 11.7% | 14.4% | 17.6% | 18.0% | 20.9% | 37.2% | 28.0% | 31.4% |
起業家のうち50歳以上の割合 | 18.9% | 23.0% | 29.5% | 26.1% | 35.3% | 43.2% | 42.1% | 46.7% |
※出典:中小企業白書2014
50代以降は「自己資金が豊富にある」「経験や人脈の蓄積がある」「予算や人員の管理能力が高い」「退職後も何らかの形で働き続けたいという希望がある」といった起業しやすい条件が整っているため、今後も増えていくと考えられます。
開業業種は医療福祉系がトップ
日本政策金融公庫総合研究所が発表した「シニア起業家の開業~2012年度 新規開業実態調査から~」を見ると、シニア起業家の開業業種は医療・福祉が22.1%でもっとも多く、次いでサービス業(17.9%)、飲食店・宿泊業(14.7%)となっています。おもな販売先は「一般消費者」が66.3%、「事業所」が33.7%ですが、ほかの年代に比べると事業所の割合は高くなっています。これは、それまでの職歴を活かした経営コンサルタントや営業代行といった事業が多くなるためのようです。
開業直前はマネジメントに携わっていた人が多い
シニア起業家の開業直前の職業は、「正社員・職員(管理職)」が46.7%ともっとも多くなります。これに「会社や団体の常勤役員」の23.3%を合わせると70.0%となり、40代・50代で得たマネジメント経験を活かして起業するケースが多いということが分かります。
「できるだけ多く収入を得たい」という起業家は少ない
シニア起業家の収入に対する考え方をみると、「できるだけ多くの収入を得たい」は26.6%で、ほかの世代が50%を上回っているのに比べて大幅に低くなっています。開業動機では「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」が51.1%で最多、「社会の役に立つ仕事がしたかった」「年齢や性別に関係なく仕事がしたかった」が36.2%で続いています。お金のためでなく、生きがいややりがいのために起業する人の多さが顕著です。
シニア起業の成功者事例
シニア起業家には明確なビジョンや問題意識を持って起業する人が多く、短い期間で成果を出し、有名企業へと育て上げた起業家も存在しています。今回はその中から、よく知られるお二方についてご紹介します。
「ライフネット生命保険」:出口治明氏
出口治明氏は60歳のときに生命保険業免許を取得し、「ライフネット生命保険」をスタートさせました。起業の動機となったのは、長年勤めた日本生命保険時代の経験。「既存の生命保険会社は全国にリアルな店舗を1000店も1500店も展開しているから人件費などがかさみ、生命保険料が高くなる」という点に問題意識を抱き、実店舗を持たないインターネット店舗形式の生命保険会社を考案しました。
設立時の目標である「創業5年以内に保有契約件数15万件以上」は、4年半で達成。現在も若い世代を中心に幅広い支持を集め、活躍しています。
「ブックオフ」「俺のイタリアン」:坂本孝氏
坂本孝氏は、13回の起業経験を持つ起業家です。50歳で「ブックオフ」を創業し、69歳で飲食業界に「VALUE CREATE株式会社」で参入、71歳で立ち飲みレストラン「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」を創業しました。ミシュランで星がとれるクラスの料理人による美味しい料理をリーズナブルな価格で提供するというコンセプトで、食材以外のさまざまなコストを切り詰めることでそれを実現しています。
現在は「俺のスパニッシュ」「俺のやきとり」など他ジャンルの店舗もオープンし、開業5年で全国30店舗を展開するに至っています。
リタイア後を充実させるシニア起業の考え方
シニア起業では、過去の貴重な経験、スキル、人脈を活かしながら「新たなミッション」に挑むことができます。これまでに培った知識や問題意識から、自分に合った起業テーマを見つけ、その実現に向けて努力する。そうすることで、年を重ねてなお成長し、充実した第二の人生を送るきっかけになるかもしれません。リタイア前後の選択肢として、趣味やボランティアなどと同様に、「起業」という選択肢を検討されてみてはいかがでしょうか。