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【電車】短くも逞しく。岳南電車の錆びない魅力
「栄枯盛衰(えいこせいすい)」は栄えたり衰えたりといった時の流れを繰り返す世のはかなさを指す言葉ですが、華々しくプロモーションされる「新しいもの」の裏側には、役割を終えて静かに幕を下ろすものやひっそりと廃れていくものがあります。今回ご紹介する「岳南電車」も、少し前までは幕引きを待つだけのローカル電車だと思われていました。しかし、その岳南電車が今、地元以外からも大きな注目を集めています。
大人の趣味や上質な時間の過ごし方に光を当てるフジヤマクロスロード、今回は「錆びない魅力によって鉄道ファンの心をくすぐる岳南電車」にフォーカスします。
岳南電車とはどういった鉄道なのか?
岳南電車(岳南線)は静岡県富士市にある吉原駅と岳南江尾駅の10駅をつなぐ単線の鉄道で、路線総延長は約9.2km、乗車時間にしてわずか20分程度という短い路線です。利用者の減少と貨物輸送の廃止にともなう収益悪化から一時は廃線の危機にさらされましたが、その後は自治体の援助などによって復活。現在も「地元の足」として、富士山麓での往復を繰り返しています。
名称: 岳南鉄道
編成: 2両
車両: 京王3000系(中間車の先頭車化改造車)、ED40形
車両番号: 7000形(モハ7001・7002・7003)
8000形(モハ8001・クハ8101)
経路: 吉原駅から岳南江尾駅まで
停車駅: 吉原、左富士信号所、ジヤトコ前、吉原本町、本吉原、田宿信号所、岳南原田、比奈、岳南富士岡、須津、神谷、岳南江尾
本数: 平日37本/休日33本(どちらも吉原駅発下り)
料金: 全線1日フリー乗車券 大人700円/子ども300円
岳南電車の3つの特徴
1 すべての駅から富士山の姿を望める
すべての駅から富士山が見える日本でただ一つの鉄道、それが岳南電車です。全10駅、すべてのホームには「富士山ビュースポット」というポイントが設置されており、そこから富士山の絶景を望むことができます。ノスタルジックな駅舎や車両と雄大な名峰のコントラストは、写真撮影に打ってつけです。
2 「工場萌え」のポイントがある
コンビナートや工場の夜間照明や煙突・配管・タンク群など、工場の無機質な造形を楽しむことを「工場萌え」と言いますが、岳南鉄道にはこの「工場萌え」においてたまらないポイントがあります。それが、岳南原田駅から下っていく途中にある製紙工場です。線路をまたぐようにそびえ立つ工場の中を突き抜けて走っていくエリアは、鉄道愛好家・工場愛好家にとって絶好の撮影ポイントとなっています。
3 「日本夜景遺産」に認定された夜景がある
鉄道本体として、初めて「日本夜景遺産」に認定されたのが岳南電車です。暗闇の中で浮かび上がる電車、ほのぼのとした灯りの駅舎――いずれも派手さはないものの、誰もが昔眺めていたような夜景を今も楽しむことができます。岳南鉄道では月に2回、車内を消灯し、夜も眠らない工場や津波避難タワーから見える埠頭、ぽつりぽつりと明かりが灯った町並みなどを眺めることができる「鉄道夜景電車/工場夜景電車」を実施しています。
景観だけではない岳南鉄道の魅力
岳南電車の魅力は景観だけにとどまりません。吉原駅近くでは、富士市のご当地グルメ「つけナポリタン」が食べられます。鶏ガラやコンソメ、ブイヨンなどで作ったお店独自のスープにパスタをつけて食べるもので、現在は約50もの店舗でそれぞれ独自レシピのつけナポリタンを味わえます。
また夜景を楽しむための夜景列車のほかにも、毎年7~8月にはビールを片手に本格的なジャズを楽しめるビール列車・ジャズトレインといった企画列車が運行されています。電車好きな方以外でも楽しめる催しが用意されているため、若いカップルから50代・60代のご夫婦まで、さまざまな世代に人気です。
「日常」に根差した「非日常」
わずか10駅、20分という短い時間ではありますが、他にはないレトロな雰囲気や美しい景観を存分に楽しめるという魅力が岳南電車にはあります。鉄道好きの方もそうでない方も、この夏は岳南鉄道に乗ってみませんか?日常風景に根差した非日常的な冒険が、あなたを待っています。