経営者がデスクチェアにこだわるべき5つの理由
自己投資の考え方と選択肢
「ペンが不要な時代」こそ、経営者は達筆であれ
少し前までは、ビジネスシーンでも当たり前のようにあった「手書き」。ですが、インターネットの普及やPC環境の向上によって、最近はめっきり文字を書かなくなったという経営者の方も多いのではないでしょうか?オフィスにおいて外部とのやり取りはメールやチャットで済みますし、企画書などの資料作成もすべてソフトで完結します。コミュニケーションツールの発達により、ちょっとしたメモすら「書く」ではなく「叩く」という作業に取って代わられました。
しかし、そんな「ペンが要らない時代」だからこそ、経営者が達筆であることの価値は高くなっていると言えます。質の高い時間の過ごし方や有意義な自己投資について考えるフジヤマクロスロード、今回は「経営者が手書きをすること、そして達筆であることの意義やメリット」について、あらためて考えていきたいと思います。
手書きだからこそ得られる経営者的メリット
他者の目に留まりやすくなる
経営者同士の手紙や郵便物のやりとりにおいて、宛名書きや本文を手書きにすると、それだけで目に留まりやすくなるものです。広告においても、手書きの文字を入れると反応率が上がることが知られています。書く人によって変わる印象のことを「味」と表現しますが、味がある手書き文字は、人の脳に新鮮な印象を与えます。達筆であればなおのこと、画一的なパソコンのフォントとの違いが注意を引きます。
「ビジネスパーソンは顔を覚えてもらってナンボ」などと言われますが、その意味では、手紙や郵便物に記された文字も経営者の顔です。文字ひとつから相手に印象を与え、覚えてもらえたり親しんでもらえたりすることは、大きなメリットと言えるでしょう。
人の心を動かすことができる
手書き文字の大きな特長のひとつに、「より想いを乗せやすくなる」ということが挙げられます。筆跡を使って性格診断などが行われているように、手書きの文字には単なる文字以上の情報が含まれているのです。印象を完璧にコントロールするのは難しいかもしれませんが、筆記具や書体、強弱などをうまく使うことで、「頼りがいがありそう」「真面目そう」「人柄が良さそう」といった印象を持ってもらうことも可能になります。
安倍晋三や麻生太郎、田中角栄など、歴代の総理大臣経験者には達筆な政治家が多いことをご存知でしょうか?この事実は、「達筆には人の心を動かす力がある」という意見に確かな説得力を持たせています。経営者のみなさんにあふれんばかりの想いがあるなら、その想いを手書きの文字に乗せて伝えるべきです。
パフォーマンスが高まる
手で文字を書くことは、煩雑な思考を整理するうえで非常に有用です。「手指を動かす」「書いた文字を見る」という行為で脳を刺激することで、書いた言葉や文章がよりしっかりと情報として蓄積されていきます。ワシントン大学の心理学者バージニア・バーニンガーの研究によれば、タイピングと手書きでは脳の働き方が大きく異なり、後者のほうが記憶関連における脳神経の働きが活発になるのだそうです。
外的なストレスに四六時中さらされている経営者の中には、文字を書くことでセルフコントロールをしているという方もいます。また、旭化成で代表取締役社長を務めた藤原健嗣は趣味である書道について、「すぐに消えてしまう自分の感情を形にできるもの」「日常とは別の自分の世界を作れるもの」といった言い方をしています。書くという行為には、感情を表現して精神を整えたり欲求を満たしたりする効果もあるのです。
文字を美しく書くポイント
「文字に自信がない」「達筆など夢のまた夢」という経営者の方もいらっしゃるかもしれません。真心のこもった文字であれば多少のうまい・へたは問題ありませんが、それでも少しでも上手に文字を書きたい場合は、次のようなコツを意識してみましょう。
とめ・はね・はらい・まがりをハッキリさせる
上手な文字はメリハリが利いています。メリハリとは、「とめ・はね・はらい・まがり」がハッキリしていることから来る印象のことです。「永」という文字で言えば、上の点が「とめ」、「水」の上部の曲がったところが「まがり」、左右の腕のおわりが「はらい」、一番下の曲がった部分が「はね」となります。これを意識するだけでも文字の印象は劇的に変わります。
線の傾きや感覚を均等にする
漢字の横棒は、わずかに右上がりになるように書くとバランスが取れて見やすい印象になります。また、縦横どちらの線も平行に等間隔で書くようにすれば、きれいな文字になります。さまざまなパーツが組み合わさったデザインとして漢字を見てみると、どのように書けば美しくなるのかが分かってくるかもしれません。
文字の並びがきれいになるようにする
一つひとつの文字が美しくても、並びがバラバラでは雑な印象になってしまいます。字が上下左右にずれないよう、大きさや文字と文字の間隔を揃えましょう。なお、文字は「漢字1に対して平仮名0.8」程度の大きさで書くともっとも美しく見えるとされています。漢字は正方形の中に、ひらがなは円の中に入るようなイメージで書くと良いでしょう。
1文字ずつではなく「文節ごと」「文章ごと」を意識して書く
1文字ずつじっくり丁寧に書いていくと、上記の「並び」のポイントが意識しにくくなります。文節や文章など、ひとまとまりを意識しながらトータルのバランスを取って書いていくと、見た目の美しい文章に仕上がりやすくなります。1文字だけに集中するのではなく、便箋などの場合は上下(前後)の行を見ながら書くとまとまりやすくなります。
デジタル時代たからこそ高まるアナログ的価値
印刷文字が当たり前になった今だからこそ、手書き文字の持つ温もりや信頼感というものがあらためて評価されています。時間がない経営者が「なんでも手書き」というわけにはいかないでしょうが、ここぞというときのご挨拶やお礼、社員向けのメッセージなどでは、手書きの文字や文章が大きな力を発揮してくれることでしょう。
近年では、ベンチャー企業やIT企業で働くビジネスパーソン、有名企業の経営層が「精神性」や「想像力」を磨くための自己投資として書道を習うケースが増えてきているようです。「大人のたしなみ」や「品格を養う自己投資」として、今から書道を始めてみるのもいいかもしれませんね。