できる経営者はなによりも心理学を勉強すべき?|フジヤマクロスロード

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自己投資の考え方と選択肢

できる経営者はなによりも心理学を勉強すべき?

優れた経営者を目指している比較的若いビジネスパーソンの中には、自己投資を重ねて研鑽を積んでいる方も少なくないでしょう。しかし、「なにから始めればいいのかわからない」「今やっていることが本当に自分磨きになっているか不安」という方もいらっしゃるはずです。

そんな状況にある経営者の方におすすめしたいのが、心理学を学ぶことです。今回のフジヤマクロスロードでは、「経営者が心理学を学ぶべき理由」にフォーカスしていきます。

はじめに~その自己投資、本当に「投資」?

自己投資とは読んで字のごとく、自分の将来に対して、時間やお金などを投資するというアクションのことです。言葉で表してしまえば簡単ですが、「それが本当に投資になっているのか?」と自問した時に、「YES」と即答できる方がどれくらいいるでしょうか。

そこで、まず知っておきたいのが「投資」と「消費」の違いについて。投資と消費はどちらもお金や時間を使うアプローチではありますが、その中身は大きく変わってきます。

投資......将来的な利益を得る目的で資金などを投入すること

消費......欲望・欲求などを満たすために財貨やサービスなどを使うこと

一般的に、「投資」と「消費」の考え方には費用対効果(コストパフォーマンス)という相対的な基準が用いられます。つまり、支払ったコストよりも手にする効果が高ければ「投資」、逆に効果が支払ったコストと同じかそれ以下であれば「消費」になるということです。ビジネスセミナーへ参加したからといって、セミナーの内容が後のアクションに活きなければ投資とはなりません。その一方で、飲食業に携わっている方の場合は「美味しいものを食べる」という行為が消費ではなく投資になる可能性があります。

投資と消費の決定的な違いは、「これから先の人生に利益をもたらしてくれるか」という部分。その点を押さえておくことで、その出費が自己投資としてふさわしいかを判断することができるはずです。そして、その分野で成功したいなら、「消費を減らして投資を増やしていく」必要があります。

経営者が覚えておきたい「2つの心理学」

一言で心理学といってもその内容は多岐にわたります。ここでは、経営者が触れておきたい2つの心理学をご紹介していきます。

人間の行動を観察しその心理を読み取る「行動心理学」

行動心理学とは、人間の行動を観察しその心理を分析したり読み取ったりする心理学的アプローチです。わかりやすくいうと、「人が無意識のうちに取ってしまう行動の法則や原理を知るための学問」となるでしょうか。

行動心理学の有名な例として、条件反射を研究した「パブロフの犬」や試行錯誤学習を研究した「ネコの問題箱」などが挙げられます。行動心理学では多くの研究が行われ、膨大な科学的データを基に今もさまざまな法則が発見されています。それらを応用することで、マーケティングの効果を上げることも可能です。

職業・労働・集団・組織などを心理学的に研究する「産業心理学」

産業心理学とは、モノやサービスの生産や消費といった場面における人の行動・心理過程を分析していく学問です。大きく「組織行動」「人事」「安全衛生」「市場」という4つの分野に分けられ、それぞれ以下のようなものが研究対象となっています。

組織行動 ワークモチベーション、意思決定、チームワーク
人事 採用・選抜の方法、キャリアアップ支援、評価
安全衛生 ヒューマンエラー、安全工学、職務上のストレス
市場 購買行動、広告効果、心理的会計

これらの研究を通して組織全体が安全に働きながら協力し効率よく目標を達成することを目指していきます。

経営者が「2つの心理学」を学ぶメリット

行動心理学

行動心理学を学び、「なぜそのような行動を取るのか」という消費者の心理を理解することで、販促活動や商品開発をより効果的に進めることが可能になります。それではマーケティングに利用できる行動心理学の例を見てみましょう。

●損失回避性

損失回避性とはその名の通り、「一度手にしたものは失いたくない」という気持ちが強くなる人間心理です。例えば、アプリやツールなどの無料版を使用しているユーザーに対して、一定期間だけ有料版の機能を使用できるようにします。すると一度有料版の機能を使用したユーザーは、期間終了後も有料版の機能を使いたいと考える可能性が高くなる――。このような現象を指します。

●アンカリング

アンカリングとは、最初に見た情報・条件を基準にして意思決定を行う人間心理です。例としてよく挙げられるものに、商品の値段があります。最初に「1万円」という価格を聞いた後で「セール中!30%オフの7000円」と書かれたポップを見ると、利用者は安いと感じます。この現象がアンカリングです。

※「根拠のない通常価格」と販売価格を掲載する方法は、二重価格表示として景品表示法違反となる可能性があるため注意が必要です

産業心理学

産業心理学は範囲も広く、より多くのことを学ぶことができますが、経営者(=組織の長)としてとりわけ気になるのが人心掌握やストレスマネジメントではないでしょうか。では人心掌握やストレスマネジメントを行ううえでどのような点に気をつけるべきなのか、その例をいくつかご紹介していきます。

●部下がついてくる上司の条件

今、ビジネスパーソンが求めているのは「心の充足」であると言われています。そのため、部下がついてくる上司の条件には「人間的に優れている」「部下の自己実現を支援してくれる」という項目が挙げられます。そのためには、コミュニケーション技術や社員の自立を支援するリーダーシップを磨くことが欠かせません。

●ストレスマネジメントは解決できるところから

部下のストレス要因を取り除く際には、その優先順位を考えなくてはいけません。緊急性の高いものやストレス反応との結びつきが強いものの優先順位が高くなることは言うまでもありませんが、中には対処のしようがないものもあるでしょう。そういったときは「解決できるもの」から対処していき、ストレスの総量を減らすことを考えるべきです。

自己投資対象に、「経営者視点の心理学」を

経営において心理学は一見あまり関連性がないように思えますが、実は非常に有益な学問と考えられます。自己投資にはさまざまな形があり、それゆえに「なにに投資すればよいのかわからない」と思い悩んだ場合には、行動心理学や産業心理学を学んでみるのもよいかもしれません。

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